【た】7．探求

【た】7．探求

「探求とは。何かを探し求めるという意味です。」

「そりゃ解る。で、今回はどんな長話を聞かせてくれるんだ。」

「私が何故探求者と名乗るのか。」

「オマエって探求者じゃなくて研究者じゃなかったっけ。違いはよくは知らんが。」

「探求と言うのは、何かを探し求める事。研究とは、何かを深く考えたり調べたりして真理を得る事。
私の行動から行けば、探求者であり研究者であるのですがね。」

「んでもオマエ、探求者って名乗ってるよね。なんでさ」

「私は『紅』の探求者。紅を探し求める者。」

「戦場をご希望ってか。碌なモンじゃねぇと思うが。」

「これが、そうでもないのですよね。正しい意味での戦場と言うのは、それだけで死に近い。
そこには。純粋な感情がたくさん。それはもう、無数に。
生きる事への渇望、殺す決意、心からの命乞い。ありとあらゆる負の感情に溢れている。」

「ますます碌でもないな。負の感情が楽しいのかどうかは知らんが、態々捜し求めるものかね。
負の感情なんざ、日常生活でもごろごろ転がってるぜ。そりゃもう、戦場なんかよりも無数に。」

「雑多な混合物が混じった純度の低い感情は、見ていても何らクるものはありません。
純度の高い、濾過に濾過を重ねた純粋極まりないその感情こそが。」

「言ってろ。俺だって戦いに臨む者。高揚しないっちゃぁ嘘になるが、オマエみたいに趣味は悪くない。」

「それならば僥倖。私のような者が大勢いたならば、この世界は醜悪な物ですから。」

「わかってんならもう少し自分を変える努力をしやがれ。幼馴染が聞いたら泣くぞ。」

「やれやれ。」

「ため息をつきたいのは俺なんだがな。」