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割と真面目だが、ネタもどんとこい
年中白衣の似非研究者
最近欲しいのは奥の手
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SSをリクエストされたので書いてみました
はいはい、オツカレサン。カノンに頼まれたんか
えーっと、タイトルは「ラボ的日常」だそうだ
読みたい人は追記をクリックだねっ
「さて。此処の所、新たな能力者達と立て続けに『運命の糸』とやらが結ばれています。」
ゆらゆらとカップの中の液体を揺らしながら呟く詩人。茶飲み話のつもりだろうが、それが能力者についてというのは少しばかり外れていると言うか。
彼自身も能力者なので、その自覚が薄いのかもしれない。
「運命の糸って、何だか素敵な響き、だね。」
紅茶をゆっくりと飲みながら、それに答える花音。能力者としては少々ずれた言ではあるが、この年頃の少女の感性から考えれば妥当である。
「確かに、詩的な響きですね。どんなに近くにいても、互いに結ばれなければ、気付く事も出来ない。このテーマだけで、噺が一つは書けそうですね。」
「やっぱり、色は赤かなぁ……。」
ロマンチックな言にもちゃんと相応に返す辺り、詩人も律儀だ。詩人としては茶飲み話のつもりで話した事。能力者としての答えよりも、花音個人としての答えを期待していた感が強い。
詩人はゆっくりと紅茶を飲み干すと、もう一杯注ぐためにポットに手を伸ばす。持った手応えが軽く、中身が無くなったのを悟ると詩人は新しく淹れ直す為に席を立つ。
「宵咲さんも、もう少し飲まれますか?」
「何かお菓子も欲しい、かな…?」
可愛くおねだりされてしまっては出さないわけにはいかない。苦笑しつつ、詩人はクッキーの缶を取り出す。どうでもいい事だが、ラボの備品庫にはそれなりの量のお菓子が備蓄されている。この男、職権を乱用しすぎである。
新しく淹れ直した紅茶の入ったポットと、スティックシュガーを何本か、それとクッキーの缶を持ってテーブルに着く。
「さて、と。どこまで話しましたか。運命の糸は赤色がいいな、と言うところまででしたっけ。」
「やっぱり、赤い方が素敵だよ。」
「運命の人とは小指同士が赤い糸で繋がっている、でしたか。何が発祥かは解りませんが、浪漫ですね。」
こぽこぽと自分と花音の紅茶を注ぎながら答える。花音はそれにスティックシュガーを二本、詩人は一本入れる。中央を折るようにしてスティックシュガーを使う詩人。
「変わった使い方、ね。」
「昔、とある人に教えてもらってからの癖なのですよ。余り意識していなくて、よく突っ込まれます。今みたいに、ね。」
ゆるゆると砂糖を溶かし回す。かき混ぜるものがティースプーンではなく、ガラス棒な辺りがラボらしい。
「まあ、その赤い糸とやらが結ばれたのがヘリオン、月のエアライダー。小間使いの妹がヘリオンらしいですが。」
「エアライダーは……かっこいいの。」
「そして、それに伴って新しく見かけるようになった六つの詠唱兵器。仲でも変り種は眼鏡とエアシューズ、ですか。」
「目からビーム、だね?」
「こう言ってはなんですが、ビジュアル的にとても笑いを誘う光景だと思います。」
その光景を想像したのか、詩人は苦笑いをこぼす。花音はクッキーを食べている。リスっぽい。
「エアシューズは、かっこいいね。ちょっと、物騒だけれど……。」
月のエアライダー集団のリーダーが使っていたエアシューズにはブレードが付いていた。恐らく、花音はそれを指して言っているだろう。『武器』である以上致し方ないことだ。
「個人的には、あのブレードが好きなのですけれどね。………あのブレードで、ゴーストの首を掻き切るのですよ。」
クツクツと危ない笑いを漏らす詩人。花音が「朱鴉さん、怖い……」といったが聞いちゃいない。今に始まった事ではないので、幼馴染の蛍などはあっさりと流す事だろう。
「ラボはヘリオン、月のエアライダーとも結社ジョブとして確保してありますので、いつでもご利用ください。」
「月のエアライダーは気になってたから、嬉しい、かな。」
ちなみに、詩人は既に月のエアライダーをバイトジョブに据えている。今まで使っていた日本刀が使えなくなってしまった為、少々困っているらしい。
「それにしても……。」
「……?」
「どうしましょうね、コレ。」
「どうしよう、ね?」
大量に積まれた本と資料。今にも崩れだしそうである。
紅茶を飲まずに片付ける、という発想はお互いに無いらしい。
なんでさ。